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Blue vase
小さな部屋で女が泣いている。
ベッドと机、簡単な収納棚だけの簡素な部屋。
彩りとして唯一置かれた、真っ青な花瓶。何も生けられてはいない。
ベッドに腰掛け、両手で顔を覆い肩を震わせる。その身体は驚く程小さく、細くか弱かった。
あたしは音も立てず、その傍らに佇んでいる。
彼女の手と手の間から漏れ聞こえた嗚咽。
呂律の回らぬ口で、懸命に呼んでいるのは名前のようだった。
『……ねぇ、ママ』
あたしの声は届かない。
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