第2章 軋む精神《こころ》

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第2章 軋む精神《こころ》

 結菜の叔父さんは,埼玉県で建設業を営んでいた。従業員約300名の会社は地元では有名で,選挙の度に叔父さんの家には多くの政治家が挨拶に来るほどだった。  結菜の父親が亡くなってからは結菜と母親を経済的に面倒をみており,結菜が小学4年生になると毎月お小遣いを与え,高校生になると月10万円ほど与えて,自分の都合のよいときに結菜を呼び出していた。  結菜は結婚してからも毎月のお小遣いのほかに,欲しいものがあれば買ってくれる叔父さんの言いなりだった。今月も結菜は週末に呼び出され,叔父さんと一緒に神奈川県にある箱根温泉に泊まりで来ていた。  歴史を感じさせる高級旅館の駐車場には,叔父さんが相互鑑賞・スワッピング,乱交パーティを専門としたインターネットの掲示板で募集した『単独男性』と呼ばれる男達が6人集っていた。それぞれ車で来ており,叔父さんとは事前に挨拶を済ませていた。叔父さんは単独男性達に気付かれることなく,全員の車のナンバーをスマホで隠し撮りしていた。  結菜は,こうやって定期的に叔父さんが集めた単独男性達の相手をさせられた。  叔父さんは,結菜が大勢の男達に抱かれているところを撮影し,それを素人投稿サイトに定期的に投稿する常連だった。顔は見えないように加工してあったが,結菜の容姿のよさから固定のファンも多く,叔父さんが単独男性を募集すると僅か数日で100件を超えるメールが男達から届いていた。 「はじめまして,スズメです」  叔父さんと一緒にいるときは,結菜は「スズメ」という名前を使っていた。  画像を投稿するときも単独男性を募集するときも名前はすべて「スズメ」であり,乱交・スワッピング愛好者の間では「スズメちゃん」で知られていた。  結菜はスズメとして,6人の単独男性に挨拶をしてまわった。  その間も,叔父さんは結菜に対して下着の着用は認めず,男達はシャツに透けた結菜の乳首を見て喜んでいた。一通り挨拶を済ませると,叔父さんと結菜は先にチェックインし単独男性達は後から時間差で旅館に入ってきた。  単独男性達もグループで大部屋を取っており,それはあくまで団体旅行としてのカモフラージュにしか過ぎなかったが,男ばかりの団体旅行といった雰囲気で違和感はなかった。都内のホテルであれば単独男性達は部屋を取る必要はないのだが,箱根の温泉旅館となるとそうはいかなかった。  高級旅館の部屋に男が7人,女が1人というのは明らかに変だったが,それぞれ部屋があることによって,大部屋に結菜達が出入りすることまでは旅館の者ですら把握できなかった。  取り敢えず単独男性達が予約した大部屋に集まり雑談をしていたが,男達の結菜を見る雰囲気を察した叔父さんがまだ明るい部屋で結菜に全員に口で奉仕するよう命令した。  結菜は命令に逆らうことなく,一列に並んだ全員の前に跪き,端から順番に叔父さんに言われるがまま口で行為を始めた。男達は緊張と興奮を抑えようと,必死に自分の順番が来るのを黙って待っていた。  その間も叔父さんは結菜をいろいろな角度から動画の撮影をしていた。  そうやっってひと通りしゃぶり終わると,叔父さんの指示のもとに男達が順番に結菜の体を優しく触ってきた。男達の位置や結菜の身体の向きまで,叔父さんのカメラの位置を考えた通りにしないと叔父さんは容赦なく文句を言った。男達も最初は服の上から撫でる程度だったが,徐々に服の間から手を入れ,ゆっくりと服を脱がしていった。  結菜は抵抗することなく,無防備になった身体を男達に好き勝手に触られていた。  叔父さんの許可が出るまでは,男達はソフトタッチまでしか許されておらず結菜はもどかしさに身をよじって堪えていた。長い脚をくねらせ,何本もの男達の手が全身を舐めまわすように触り続けた。 「綺麗だよ,スズメちゃん」 「もうこんなにヌルヌルだね」  男達に言葉で責められ,結菜は感じていた。全身の力を抜き,ありとあらゆる部分を指が這いまわるのを感じた。  その様子を見ながら撮影に集中している叔父さんが時々結菜の視界に入ったが,叔父さんは結菜を直接見ることなく,カメラのモニタ越しからしか結菜を見ていなかった。 「じゃあ,みなさん。スズメを順番に喜ばせてやってください」  叔父さんの合図をきっかけに,全員が全裸になり結菜の穴という穴に指や舌が入ってきた。まだ指と舌しか許可が出ていないことを結菜はわかっていたが,脚を大きく開き男達を誘った。  結菜は誰になにをされているのかもわからず,責められ続けていくうちに頭が真っ白になっていた。 「いいよ,スズメ。いやらしい表情だ」  叔父さんは決して参加することなく,最初から最後まで撮影に専念していた。  どれくらいの時間が経ったかわからないが,外は暗くなり部屋の中は精液と汗の匂いで充満していた。ずっと男達の指と舌だけで全身隈なく責められ続けて頭がおかしくなりそうだった。それでも叔父さんは単独達にしゃぶらせることは許しても挿入の許可は与えず,男達もひたすら我慢していた。 「じゃあ,みなさん。そろそろ第1ラウンド終了ということで食事にしましょう」  叔父さんは全員に部屋にあるシャワーを浴びてくるように勧め,その間結菜は叔父さんに口で奉仕をさせられた。宿には大きな露天風呂もあったが,なぜか叔父さんは部屋のシャワーを勧めていた。  結菜は顎が疲れて舌が麻痺していたが,命令されボロボロになっていく自分が好きだった。  旅館では,晩御飯を頼んでいなかったので,近くの食堂に食べに行くことにした。全員が浴衣を着,結菜も下着をつけずに浴衣1枚で一緒に外出させられた。 「ほら,スズメ。そこで胸を見せてみな」  男達の見ている前で命令されるがままに,人通りの少ない場所で浴衣の胸元を開いて見せた。叔父さんは嬉しそうにカメラを向け,シャッターを切っていた。男達も興奮して,結菜の周りで浴衣を捲くったりしてふざけていた。  食堂に入ると大人しく食事をし,帰り道に男達が酒屋で大量にアルコールを購入していた。  叔父さんは結菜を連れて,趣のある石階段や古い雰囲気のある建物の前で結菜の野外露出撮影を楽しんでいた。 「ほら,スズメ。誰かのをしゃぶって」 「え? 誰の?」  叔父さんは単独男性を2人選ぶと,石段に立たせ2本同時に結菜にしゃぶらせた。そんな結菜を叔父さんは満足気に写真を撮っていた。残りの単独男性も興奮を抑えきれずに浴衣を捲り上げてマスターベーションをした。  旅館に戻ると,貸切露天風呂に全員で入ることになった。ちょうど10時から4時間,2人の単独男性が食事に行く前にそれぞれ時間差で予約をしていた。  貸切風呂は半分が屋内で,白く濁ったガラス戸を開けると小さな岩の露天風呂があった。お湯は無色透明だったが,かすかに硫黄の匂いを感じた。温泉が流れるところは白い結晶ができていて,男達は露天風呂を見て「おお~いい風呂だ」と声をあげた。 「ほら,スズメ。風呂んなかでも,ちゃんとみなさんにサービスするんだぞ」  結菜は言われるがままに全員の身体を隈なく舐め,そして舐められている間,指を入れられ,好き勝手に身体を弄られた。 「じゃあ,ゲームをしましょう!」  叔父さんは,いつも単独男性を相手にゲームをするのが好きだった。  それは結菜が目隠しをし,順番にしゃぶって誰かを当てるゲームだった。もし結菜が全員を当てられたら,男達から1人1万円の賞金が出ることになっていた。しかし,1人でも間違えれば結菜は全員の願望を満たさなくてはならなかった。  抵抗することなく目隠しをされると当たり前のように跪き,並んでいる男に誘導されるようにしてしゃぶり始めた。明らかに特徴のある2人は簡単にわかったが,後の4人は難しかった。ほんの数時間前に散々しゃぶった相手が誰なのかも覚えていなかった。  それでも必至に思い出そうとした。顎が疲れ舌先が痺れた。時間が掛かったが4人まで正解したが,残りの2人がまったくわからなかった。 「そろそろタイムオーバーだぞ,スズメ」 「え……? でも,まだ……」 「ほら,最後の2人なんだから勘を働かせろ」  ほんの少し前に目を合わせながらしゃぶった2人の顔を思い浮かべて,体格から誰かを想像した。結局,結菜は正解し全員の期待を裏切った。叔父さんは少し不満気だったが,結菜は6万円のお小遣いが入ると思い嬉しくなった。 「よし。第2ラウンド,スタート!」  叔父さんは毎回,数パターンのゲームを考えており結菜はいつもそれが怖かったが,同時に身体の芯まで満足させてくれる叔父さんに喜びを感じていた。 「じゃあ,次のゲームは誰が入ってるのかを当てるゲームね」  これは,叔父さんが選んだ数人を結菜がバックの体位で挿入され,誰か当てるゲームだった。  今回は,叔父さんの気分で3人が選ばれた。  もし結菜が全員を当てることができたら,参加者から再び1万円ずつもらえることになっていた。結菜は,これがいつも苦手で全員を当てられたことがなかった。 「よし,スズメ。今度はちょっと難しいぞ」  叔父さんは嬉しそうに,男達が順番に結菜に挿入するのを見ていた。男達もようやく挿入することができる喜びに,挿入しても長く続く者はいなかった。  結菜は1人も当てることができず,後で罰ゲームをうけることになった。叔父さんは満足気に結菜を見ると,湯船に浸かりながら男達と談笑していた。そして大人しくしている結菜に対して,身体を洗っている男達のほうへ行くように命令した。 「ほら,スズメ。みなさんの体を洗ってあげなさい」  なにも言わずも指示通りに男達のところへ行くと,泡立てた石鹸を使って抱き着くようにしてそれぞれの身体を全身を使って洗った。その間,男達は嬉しそうに結菜の胸やお尻を撫でていた。結菜の長い脚と張りのあるお尻は誰もが手を伸ばし,自由に触れられることを喜んだ。 「では,みなさん。今度はみなさんがスズメを綺麗に洗ってやってください」  男達は,言われた通りに結菜の体を洗った。  洗い場に立たせられた結菜は,倒れないように露天風呂の岩に手を付き,男達が石鹸を泡立てた手で結菜の敏感な場所をていねいに洗った。石鹸の泡が身体のあちこちをヒリヒリとさせたが優しく触る手の感触が気持ちよかった。敏感な部分をていねいに触られている間,岩に手をついて立っているのに少し疲れた。  その後も露天風呂内で結菜が男達に抱かれているところをひと通り撮影すると,部屋に戻って第3ラウンドをしようと提案した。  部屋に戻ると,男達が買ってきたアルコールを飲みながらいろいろな話をした。このころになると使い物にならない男も出始めて,結局最後まで頑張れるのは2,3人しかいなかった。  そんな男達もすっかり緊張が解け,いままでの体験談やこの世界に入ったきっかけなどを話してくれた。結菜は,どうして男達がこの世界に入って来るのかを聞くのが好きだった。  多くの男が家庭をもっていたり,有名企業で働いていたりと,話を聞いていても充実した生活を送っているように思えた。そもそもこうやって叔父さんが集める単独男性は,みんな身元がしっかりしていてお金に余裕のある人しかいなかった。結菜はいつもそんな男達の話を聞くと,自分の人生と比べてしまった。  彼らは常に身体を求め,褒めて優しくしてくれるが,決して自分のような女と家庭をもつなどありえず,かつて一緒に過ごした元夫のことを思い出していた。温かい家庭を一瞬だけでも味わえたのは,自分の人生のなかであのときだけだと思い,失ったものの大きさに胸が締め付けられた。 「さて。そろそろ,第3ラウンドを始めますか」  叔父さんは,みんなが程よく酔ったころに再び結菜を触りながら男達に話し掛けた。  叔父さんは男達に傷がつかなければなにをしてもいいので,メチャメチャにしてくださいと言うと部屋の隅に置いてあるソファに移動した。結菜は大勢の男達に抱かれ,穴という穴が常に男達に塞がれ休む間もなく責め続けられ頭が真っ白になった。  途中で叔父さんが男達にさまざまな道具を手渡し,結菜の敏感な場所を責めさせた。結菜はなにも考えられなかったが,頭のどこかに冷静な場所があり自分自身を遠くから見ているような気がした。  それはまるで,大勢の男達に抱かれているのが自分ではなく人形のように思え,結菜はその光景を遠くから見ているような気がした。  幼かったころの自分の姿が瞼の裏に鮮明に蘇り,父親と公園で駆けっこをしているところを突然現れた叔父さんに玩具を取り上げられるかのようにして抱きかかけられていた。目の間にいた父親は消えていなくなり,叔父さんの太い腕が幼い結菜の身体をギリギリと締め上げている様子が目の前でチラチラと消えては現れ,現れては消えた。 『お願い……私を壊して……お願いだから……私を壊して……』  頭のなかで何度もお願いをした。男達にも叔父さんにも聞こえることのない結菜の悲痛な叫び声が頭のなかをいっぱいにした。その間も身体は男達に好き勝手に弄ばれ,快楽と苦痛が結菜の心を押し潰そうとしているかのようだった。 「さて,さっきのゲームで勝った方は,特別にリクエストを受けますよ!」  叔父さんの一言で結菜は緊張した。男達に力づくで身体を持ち上げられると,結菜は四つんばいになって全員にお尻を突き出すような格好になった。  3人の男性達は,叔父さんから手渡されたローションをたっぷりと結菜に塗り,2つの穴に何度も指を出し入れした。  結菜は,いつもお尻を指で弄られるのに不快感があったがただただ我慢した。ゆっくり時間をかけながら指が4本入ると,男達から静かな歓声が上がった。そして順番に男達が無抵抗の結菜に挿入したが,結菜はすでに意識を半分以上失っていた。それでも穴という穴をすべて塞がれ,終わることのない責めが続き3人の男達が射精するのを同時に受け入れた。  どんなに時間を掛けてほぐしてもお尻で感じることはなく,叔父さんの命令は絶対だったので抵抗することなく受け入れていた。夜中の3時ころまで全員に満遍なく抱かれ,散々精液を飲まされると疲れきって寝てしまった。  男達の中にはそのまま寝ないで話をする人もいたが,もう誰も結菜の体に触れようとはしなかった。  そして朝になると,全員で朝食をとりその場で解散した。  男達は,結菜と叔父さんにていねいに挨拶をし,数人が順番に結菜との2ショット写真をスマホで撮影して帰って行った。  叔父さんは満足した様子で,驚くほど機嫌がよかった。そしてご褒美だといって60万円の入った封筒を手渡した。いつの間にか人数×10万円が結菜への報酬のようになっていた。それ以上に機嫌のいい叔父さんを見ると,不思議と結菜も幸せな気持ちになった。  以前,こんな大金はいらないと言ったことがあったが,そのときに叔父さんから「キャバクラに行って金を使うよりも全然安い。接客のできないキャバ嬢に無駄金を使うよりも全然有意義だ」と言って取り合ってくれなかった。それ以来,黙って現金を受け取るようになったが,毎回自分の身体に値段がつけられているようで抵抗があった。  こうやって知らない男達を集めては結菜に相手をさせる叔父さんがなにを考えているのか不思議に思うこともあったが,いまではこれが叔父さんの性癖であり,結菜を撮影することがなによりの幸せなんだと感じていた。  叔父さんは結菜を車に乗せると,上機嫌で結菜を家の前まで送ってくれた。夜11時近くになり,家に着くと結菜はすぐにお風呂に入り寝てしまった。  1泊2日ではあったがほとんど休むことなく6人の相手をしていたので,全身が擦れた感じがしてヒリヒリして痛かった。そっと股の間を振れると,血が指先についた。散々責められ,穴という穴を犯され,粘膜が傷ついているのだろうと思いながら,軋む身体を小さくして布団のなかで静かに震えた。  そして指先の赤黒くなった乾いた血を眺めながら,全身に走る痛みに身体が悲鳴をあげているようで,結菜の心を真っ黒な重油のような液体がゆっくりと時間をかけて満たしていくのを感じた。そして,その痛みを感じる度に結菜の口元がほころんだ。 『誰か……私を壊して……お願いだから……』
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