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わたしはまだドキドキする気持ちをおさえながら自分の場所へ戻った。 *** 「問題はムカデ競争だよね」 「佐藤さん達のグループだから緊張するよね」 わたしと小春ちゃんは給食を食べながら小声で話す。 ムカデ競争はわたしと小春ちゃんが佐藤さんグループに入る形になっちゃってゆううつだった。 確かに運動神経がよくないわたしと小春ちゃんを佐藤さんが引っ張ってくれるのはありがたいけど、その分、失敗できないというプレッシャーになっている。 「わたし達の出来る範囲でがんばろう」 わたしがそういうと、小春ちゃんがはしを置いてうつむいた。 「どうしたの?」 「やっぱり麻衣ちゃんは変わったね。わたしなんてずっと逃げてる。麻衣ちゃんにだって嫉妬して」 「わたしも蒼井先輩のやさしさに逃げてた。でもそれじゃみんなが傷つく。よくないことだってわかったから、わたしは自分の気持ちに正直になりたい。だから蒼井先輩のことはもう巻き込まない」 「蒼井先輩が傷ついても?」 小春ちゃんが瞳を揺らしながらわたしを真っ直ぐととらえている。小春ちゃんは自分の気持ちよりも蒼井先輩の気持ちを守ってあげたいって思っているのかもしれない。 「想ってもいないのに気持ちを利用するほうが蒼井先輩を傷つけると思うから、だから蒼井先輩と付き合うことはないよ」 「麻衣ちゃんは……やっぱりすごいね」 そういうと、小春ちゃんがうつむきながらはしを持って食べ始めるからわたしも黙々とはしを進めた。 いつか小春ちゃんの想いが蒼井先輩に届くといいなって思った。 *** 相変わらず亮太は体育祭実行委員と、学年対抗リレーの練習で忙しくしているから、家に帰ってきてもすぐに寝ちゃうと、由芽ちゃんがいっていた。 でも調子がよさそうなのは校庭を走り抜ける亮太を見ればすぐにわかる。 今回だって一番を取っちゃう気がしている。
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