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どっち?亮太がいい。そう思いながら顔をあげて入り口を見つめていた。現れたのは……蒼井先輩だった。 「宮本……さん」 「蒼井先輩……」 「頼まれたから……来たよ」 「……どうして」 蒼井先輩は話しづらそうにしながら頬をかくと、わたしを真っ直ぐとらえていった。 「一緒に帰れない、ごめんだって」 「そっそうですか……わざわざ伝えに来てくれてありがとうございます」 わたしはカバンを取って思いっきり立ち上がると、足に痛みが走ってしゃがむ。 「痛いんでしょ。送るから」 「……すみません」 わたしは蒼井先輩が差し出した手をつかんで立ち上がった。 なんでこんな時に亮太じゃないの? 涙がじわっとして鼻の奥が痛い。でも胸がギュッとするからそれが一番痛い。 わたしは蒼井先輩のジャージのすそをつかんで階段を下りた。 「足、冷やさなかったの?」 「痛くなると思わなくて」 「彼はちゃんと見てあげなかったのか……だんだん痛くなるからちゃんと冷やさないとダメだよ。家に帰ったら湿布はってもらってね」 「はい。ありがとうございます」 校舎を出て校庭を見るけど人影はない。 亮太……どこに行っちゃったの?何しているの? わたしは耐えられなくなって目から涙がボロボロと流れた。 「彼は追いつめられたような顔で俺に宮本さんをお願いしにきたんだ。俺にお願いしにくるなんてよっぽどのことがあったのかもしれない。だから心配しなくて大丈夫だよ」 そういってわたしの頭を蒼井先輩がなでる。 亮太を信じたいけど、亮太からちゃんと理由を聞くまでわたしは安心できない。 「蒼井先輩、ありがとうございました」 「じゃあちゃんと冷やすんだよ」 「はい」 蒼井先輩に手を振ると、来た道を見つめた。 亮太……いつ帰ってくるのかな? しばらく見つめて、わたしは家に入った。 わたしは部屋に入ると、お母さんから受け取った湿布を貼って、ベッドの上に座りながら窓の外を眺めた。
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