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もう辺りは真っ暗になって街灯が点滅し始めた。長く伸びる影がふたつ歩いてくるから、わたしはカーテンに隠れながら外を眺めた。 『おいしかったね。明日はちゃんとふたりでお祝いしょうね』 『ああっ』 亮太と佐藤さんのふたりの声が聞こえてきた。 どうしてふたりが一緒に帰ってくるの? わたしは目を見開いた。 『じゃあ明日ね。亮太』 『じゃあな』 その瞬間、佐藤さんが亮太に抱きつく。亮太が佐藤さんの背中に手を回している。 「……どうして」 わたしはあまりの驚きにカーテンを閉め、ベッドに倒れて枕に顔をふせた。 どうして……どうして亮太と佐藤さんが抱き合っているの? 佐藤さんは亮太に告白したの? 亮太は佐藤さんを受け入れたの? それならわたしに対する亮太のあの態度はなんだったの?頭の中が混乱する。 わたしがカーテンを開けて外を確認するころにはふたりはもういなかった。 さっき見たものは嘘だって、夢だって思いたい。 ……わたしはわたしの知る亮太を信じていいんだよね?
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