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わたしがつかんでいる腕を亮太がつかみ直してわたしの腕を思いっきり引っぱるからわたしはよろけながらも立ち上がる。 亮太の強い力によろめいたわたしを亮太が支える。 いつから亮太はわたしを軽々と支えちゃうくらいこんなにも力が強くなっただろう。 戸惑うわたしの肩を亮太がしっかりとつかんでいる。 「おまえ……こんなにちっこいっけ?」 「亮太が……大きくなっちゃったんだよ」 会うたびに身長が伸びているんじゃないかと思うくらい見上げるほど亮太は大きいし、声だって低くなってきている。男なんだって意識しない方がおかしなほど亮太は男の人になっている。 「それより……学校では幼なじみだってバレるのいやなんでしょ?」 「いつの話だよ」 亮太が鼻で笑う。 いつの話?わたしはそのせいで亮太と幼なじみさえできなくなったのに。 今だってあの頃を思い出すから同じ学校に通っているのがトラウマだったのに、そんな一言で返されたことに拍子抜けした。 「でも名前はダメだよ……話しかけるのも禁止だからね」 わたしは言い捨てると、チャイムが鳴るから慌てて階段を上った。 今は亮太と幼なじみだって佐藤さんに知られたくない。だから勝手だってわかってるけど、今度はわたしが学校では話しかけられたくない。 わたしは美術の先生が来るギリギリに美術室に入った。心配そうに見つめる小春ちゃんの横に座った。 「さっきは驚いたよ」 わたしの耳元で小声で小春ちゃんがいった。 「……ごめんね」 「本当に葉月くんと幼なじみなんだね」 そう小春ちゃんがつぶやくと、後ろに座る佐藤さんを見つめた。わたしもつられて後ろを振り返る。 「亮太いなかった残念」 「終わったらクラスのぞいてみたら」 「そうだね」 「この前までは葉月って呼んでたのに亮太だって」 小春ちゃんが耳打ちしながら不満顔でつぶやく。わたしが本当は抱いているはずの感情を顔に出して、かわりに小春ちゃんが怒ってくれている。 わたしのことを名前で呼び捨てにするのは亮太だけなのに……亮太は佐藤さんにまで亮太と呼び捨てにされているんだ。
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