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わたしは小学校の時の運動会の写真を眺めた。
あの頃を思い出しながら1ページ1ページとめくる。亮太は恥ずかしいのかわたしの隣に座ってマンガ本を読み始めた。
「亮太も一緒に見ようよ」
「いやだ」
「照れてるの?でもこの時の亮太、かっこよかったよ」
「この時ね」
わたしはクスッと笑うと、機嫌がよさそうな今の亮太なら本当のことを教えてくれると思って、あの頃疑問に思っていたことを聞いた。
「どうして亮太はこの時、わたしと幼なじみって内緒にしたかったの?」
「恥ずかしいからだよ」
「わたしと幼なじみだと恥ずかしいよね」
「違うよ。めんどいから、からかわれるの」
「だから内緒だったの?」
「そうだよ」
亮太は小学生の頃みんなのリーダーって感じで女子にモテていた。だからおとなしくて地味で目立たないわたしと幼なじみだってバレるのが恥ずかしいから、幼なじみっていうなっていわれたと思っていた。
「わたしが幼なじみなんて恥ずかしいのかと思ってた……安心した」
「気にしすぎだろ」
「気にするよ」
だってわたしは亮太のように何でも器用に出来ないし、自信もない。だからわたしがお隣に住んでいなくて、亮太と関わりがなかったらわたしなんて相手にされていなかったって思っていたから、わたしのこと恥ずかしい幼なじみだと思っていなかったことに安心した。
「この時に聞きたかったな」
そしたら、どうしょうもない気持ちにモヤモヤすることも、わたしの知らない亮太が増えることもなかったかもしれないのに……でもこうしてまた亮太はわたしと幼なじみをしてくれている。それだけでぜいたくなのかな?
「……亮太」
わたしは亮太の背中に寄りかかった。
「なんだよ」
「わたし達は今でも……幼なじみだよね?」
「……そうだな」
やっぱり幼なじみなんだよね?
「亮太だけがわたしのことわかってくれるならわたしは……」
幼なじみのままでもいい。
だからずっとそばにいたいし、いさせてほしい。
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