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「ソーラン節もムカデ競争もわたしが佐藤さんに迷惑をかけているから気にしちゃっていたけど、亮太が大丈夫っていってくれたら大丈夫な気がしてきた」
「麻衣はどんくさいからな」
「否定はしないよ」
わたしがふくれてうつむくと、クッと亮太が笑ってわたしの頭をゴシゴシとしてきた。
「やめて。髪の毛が」
「クッ髪やば」
「もう」
わたしは髪の毛を整えながらそっぽを向いた。
「俺もおまえから元気もらった。だから明日も一番でゴールするから」
「うん。ちゃんと見てるから、がんばってね」
「おやすみ」
「おやすみ」
おやすみってふたりでいってからも、わたし達は見つめあったままだった。
まだ亮太と話していたい。亮太を見ていたい。
でも明日のために早くゆっくりしてほしい。
対照的な感情がごちゃまぜになってわたしからは窓を閉めることができなかった。
「早く窓閉めろよ」
「亮太が閉めてよ」
「……まだ話すか?」
「やめとく」
「なんだよそれ」
「だって……ずっと一緒にいたくなるもん」
亮太が驚いたような顔をすると、わたしに腕を伸ばしてくる。
「……ばーか」
伸ばした腕をわたしの目の前でとめると、亮太がわたしのおでこをデコピンした。
「いたっひどいよ亮太」
わたしはおでこをおさえてうつむいた。
「そういうこと簡単にいうなよ。恥ずかしいだろ」
そういって勢いよく亮太が窓を閉めて、カーテンを閉める音がした。
「本当のこといっただけなのに……」
わたしはまだヒリヒリするおでこをさすりながら窓を閉めた。
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