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体育祭当日は、グレーな空。 蒼井先輩が体育祭のポスターにぬった鮮やかなブルーにはならなかったけど、心地いい風が吹いて、亮太が走るには適した気候だと思った。 「お弁当忘れないでよ」 「わかってる。いってきます」 わたしはお母さんからお弁当を受け取ると、カバンに入れて玄関に向かった。 「見に行けないけど、がんばてね」 「大丈夫」 「お母さんの分も亮太くん応援しておいてよ」 「わかった。いってきます」 わたしが玄関を出ると、蒼井先輩が立っていた。 「蒼井先輩」 「おはよう。ごめんこんなことして」 「いいえ。おはようございます」 わたしは気まずくてうつむいた。 「そんな顔、させたかったわけじゃないから。今日だけでいいから同じ部活の仲間として、同じチームとして、学年対抗リレーだけは応援してくれるとがんばれるんだけど」 「応援しています。後輩として」 「……ありがとう。じゃあ宮本さんもがんばって」 「ありがとうございます」 そういうと、蒼井先輩が歩いていった。 わたしが蒼井先輩のやさしさに頼りすぎたからあんな顔をさせちゃったのに、どこかほっとしてしまった自分がいやになる。 わたしは蒼井先輩が見えなくなってから歩き始めた。 学校につくと、すでに体育祭実行委員が校庭に白線を書き足しながら準備を進めている。 教室のベランダには赤、白、青、黄色と書かれた得点ボードをくくりつけている人もいる。 わたしは体育祭が始まる匂いをめいっぱい吸って校舎に入った。 「今日は本番です。頑張りましょう」 黒板の前に出て佐藤さんがいっているけど、いつもと様子が違う気がした。 「なんか佐藤さん、おかしいね」 小春ちゃんも佐藤さんの様子に気づいたみたいでわたしに小声でいってきた。 「じゃあわたしは準備があるから」 そういうと、佐藤さんが教室を出ていった。 「さとあみおかしかったね」 「やっぱり緊張しているんじゃない」 「そっか体育祭が終わったら葉月に告るんだっけ?」 えっ?佐藤さんが今日、亮太に告白するの?
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