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「そんな顔するな心配になるだろ。苦しいなら横になっとけ」
「うん」
わたしは靴を脱いでベッドに横になると、亮太が掛け布団をかけてくれた。
「ありがとう。ムカデ競争出れなかったね。ごめんね」
「大丈夫だから休んどけよ」
「待って」
保健室を出ようとして、わたしに背を向けた亮太の体操着のすそをつかんだ。わたしは起き上がってチクッとする胸をおさえた。
「まだそばにいて」
「麻衣」
「ひとりにしないで亮太」
「わかった」
そういうと、近くにあった丸椅子を持ってきてわたしのそばに亮太が座る。
「亮太はあと午後の競技だけ?」
「そうだよ」
「じゃあ……」
それまで一緒にいてなんていえないとわたしは口をつぐんだ。
「麻衣が不安ならそばにいる」
そういうと、亮太がわたしの手をギュッとした。
「亮太……亮太の隣はわたしがいい。亮太の隣はいつだってわたしがいい。わたしの隣も亮太がいいよ」
だから佐藤さんに告白されても絶対断ってほしいよ。自分で幼なじみがいいなんて逃げておきながら都合がいいけど。
チクチクと胸が痛むからわたしはうつむいた。
「幼なじみがいいんだろ、麻衣は」
「亮太……いやだよわたしはずっと亮太が」
「わかった。泣くな」
「えっ?」
わたしの頭を亮太が抱きしめるから、わたしは亮太の胸に顔をうずめた。
「亮太」
ドキドキと亮太の心臓の音が早くて、亮太の体温が熱い。わたしも胸がキュッとする。
亮太の体操着をぬらしていく涙にわたしも戸惑った。
「俺はいつでも一緒にいてやる。だから泣くな」
「うん」
わたしは涙を拭いて亮太を見て微笑んだ。
その言葉だけでうれしい。
「起きてて大丈夫か?」
「亮太がいれば大丈夫」
「しっ心配させるなよ」
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