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わたしはコクッとうなずいて、自分の席に戻った。
「午後のプログラムはソーラン節からだからがんばろうね」
「麻衣ちゃん、うん。がんばろう」
わたしと小春ちゃんははっぴを着て教室を出た。
「これより、体育祭午後の部を始めます。女子全員による表現。ソーラン節です。代々受け継がれているはっぴをまとい、華麗に踊ります」
そうアナウンスされ笛の合図で一斉に中央に集まると、次の笛の合図で左腕を背中に回して右手を前に出し、構えのポーズをする。曲が流れると、波を表現するように右手をうねらせた。
わたしは必死にくらいついてなんとか動きについていって最後のポーズまで決めた。笛の合図で走って退場する。
初めての達成感にわたしは小春ちゃんと抱き合った。
「できたね」
「よかったよね。わたし達」
「宮本さん達よかったよ」
佐藤さんがわたしの背中をポンと叩いた。
「佐藤さんのおかげだよ。ありがとう」
わたしは佐藤さんにペコッと頭を下げた。
「……敵わないな……宮本さん」
「えっ?」
「なんでもない」
そういうと、女子グループのところまで佐藤さんが走って行った。
「敵わないって負けを認めるってことかな?」
「勝ち負けなんてないよ。早くはっぴ置きに行こう」
「そうだね」
空ははっぴのような鮮やかなブルーではなかったけど、わたしには鮮やかなブルーに見える。
体育祭最後のプログラム、学年対抗リレーが始まろうとしていた。わたしは固唾を飲んでその時を待っていた。給水タイムを挟んで代表選手が入場口に集まっていた。
「麻衣」
後ろから大声で呼ばれてわたしは振り返るとかけよる。みんなが注目しているけど、そんな視線なんて気にならないくらいわたしは亮太だけを見つめた。
「がんばって亮太」
「ちゃんと応援しろよ」
「わかってる」
「でさ……ってこいつらの視線気になる」
わたしは首の後ろをかいてうつむく亮太を見て笑うと、頭に巻いたはちまきを取り、亮太の腕にくるくると巻いて結んだ。
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