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「では昼ご飯だ。」
「え…お仕事は…?」
「基本的には依頼の品を作るか、商品を作るかすればその日の仕事は終わりだよ。
狭い村だからね。需要はそんなに無いんだ。」
マーティスの奴は2ヶ月に1回くらい鎧の修理を頼みに来るけど。…全身分だぞ?一体どうやったらそんなに万遍無く攻撃を食らうことが出来るんだ?
…きっと奴に常識と言うものは通用しないに違いない。鎧を買い置きするのもアイツくらいだろう。
「あ、そうそう。食器や調理器具、ハサミなんかの日用品の製造販売や修理も行っている。」
後は、錆びた商品のリストアだったり。
…流石に商品全部を一々研磨なんかしてられないからね。砥石が幾らあっても足らなくなる。
「ところで、マーティスさんの鎧はあれで完成なのですか?」
「まさか。あれだけじゃ着れないものもあるからね。アンダースーツって言う…他店の商品を溶接でくっ付けて仕上げだ。」
「成程、その作業でバラバラの鎧が一つになる訳ですね!」
「まぁそんなとこ。
…しかし、人と鎧の話なんてするのは数年ぶりだな…。♪」
「??」
…昼食。今朝のゴールデンライスを思い出しながら今度は何だろうと待っていると。
「こ、これは…?」
「タマゴ飯だ。生卵をかけただけ。
…すまないね。2人分の材料を買うのに、あれもこれも2つずつ買ったから、あまり凝った料理を作れないんだ。」
…一人暮らしだから元々レパートリーも少ないし、と語るオウコ殿。
…これなら私もお役に立てるかも…!
「分かりました、お夜食は私が…!」
「おや、食べもせずにクレームかな?」
「あ、いえ!?そう言う訳では!」
「はは、冗談だ♪いただきます。」
「はい、いただきます…。」
「カラシは何色にする?」
「はい?」
「流石にタマゴだけのご飯はお世辞にも美味しいとは言えないよ♪」
赤ガラシ、黒ガラシ、黄ガラシ…そして。
「緑ガラシ…と言うのは初めて聞きました。」
「山菜を磨り潰したもので、黄ガラシに近い独特の辛さだ。すっきりした味わいで、刺身や肉に付けて食べると美味しいってところかな?勿論付けすぎには注意だ。」
「っっ〜…。(><)」
「はは♪」
何でしょうかこの刺激は!?涙が…!鼻が〜〜!
「…センカはお屋敷では料理を作っていたのかな?」
「えぇ…主人に食べて戴いたことはありませんが、教育は受けていました。」
「そうか。じゃあ、買い物も含めてセンカに任せた方が良いかな?♪」
「あ…でも私、機車に乗れません…。」
「いや、あれは仕事の材料も含めた買い物だから…。」
「食材だけなら、ちょっと坂を下って行ったところに店がある。
荷車はあるけど…あれで坂を登るのはきついよ?一応迂回路はあるけど、きついことに変わりは無いし…。」
「大丈夫です!問題ありません!」
「ん〜…機車使った方が便利だと思うがねぇ。」
「機車ですか…」
「イチカを撥ねたりしなければその辺で練習して良いよ。ワタシが使う時は言うし。」
「…は、はい…。」
「まぁ逆に言えばイチカ以外は特に気を付けるべきものも無い、のどかな村ってことだよ♪」
「…えぇ。何だかここの人達はお屋敷の人達とは違う気がします…。」
「…ふむ。」
時々尻尾の先を動かすようになったね。安心してくれた、ってことなら良いんだけどね。
…しかしそうなるとワタシとの生活の何処にそんな要素があるのか疑問だね…♪
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