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「ニャー。ニャウーー。」
「はいはいただいま♪…えっと、ご飯はセンカが作るんだったね?」
「は、はい!頑張ります!♪」
「ん…♪」
良い笑顔だ……普通に作ってくれれば良いんだけどなぁ…♪
──センカに調理場の使い方を教える。さて、お手並み拝見かな。
「…これは、お湯はどうやって出すのですか?」
「水道から出るのは水だけだよ。風呂でもそうだっただろう?」
「ぁ…。」
「お湯が欲しい時は鍋に水を入れて温めるしか無いね。」
…それはドラム缶風呂も銭湯も同じだ。下から温めて水をお湯にしている。
ワタシは普段、銭湯の残り湯を破格値で買ってそれに浸かっている訳だ。…不潔と言うイメージを持たれるのも仕方無い。
──しかし、体を洗うのは水道から引いた綺麗な水を使っているから、下手すると他の者より清潔にしていると思うのだが。
…囲炉裏は部屋の中央と端に2つ。夜は片方を照明にして調理する訳だ。
「ミャー…。」
「イチカー、危ないから止めなさいねー?」
「ミャウッ。」
ケチ!とでも言うように鳴く。…昔はぷにぷにだった肉球が時たまこうして炙られてる所為か、段々と硬くなってるんだよ…!イチカさんには分かるまい!
「ヘイッ!」
「ぁ、くしゃみ。大丈夫かぁ?…ワタシもちょっと寒いかも。」
「…ん?
…ねぇセンカ、ちょっとそれ焦げ過ぎじゃないかな…?」
そう言う料理なのか…?
「え、ええ…ぁあ、どうすればっ!?」
「鍋を動かさなきゃ炭になるよっ!退きなさい!
…ぁああ…真っ黒焦げじゃないか…はぁ〜…♪」
「す、すみません…!」
「ん…ぁあそうか、火管での調理は温度調節がもっと楽に出来るものな…。」
…ガスの量で火加減を調節出来る火管と、それが出来ない囲炉裏では大違いだ。
「ぁ…火の強さ…!」
「そうか……その違いに気付かずに同じようにやらせてしまった。それは失敗するのも無理は無い。」
「ぅう……。」
「何、慣れれば難しいことじゃない。鍋を火に当て過ぎないように動かしてやれば良いだけだ。」
「…成程…だから剣のような持ち手が付いているのですねっ。」
「はは、鍛冶はこれの数倍難しい仕事だよ?♪1日2日で真似出来ることじゃあ無いと思うね。」
「ぅっ…。」
「ふっ♪さてと……今夜はこの焦げご飯を食べるとしよう♪…イチカの分は作り直さなくちゃいけないから、我々の分も味付けをして誤魔化そう。」
「は、はい!」
「大丈夫。焦げてるだけだし、焦げを出来る限り落として、苦味を消すか活かすような味にすれば食べられるさ♪体には悪いかもだけど。」
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