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「えーー…今日の朝食はケチャタマです。」
「けちゃたま…。」
「ニャァ~。」
「イチカには濃すぎるから、ケチャタマ汁ね♪」
「ケチャ…ケチャ汁…?」
「ぁあうん。…えっと、これが“ケチャ芋”ね。」
「ぁ…確か、沿岸部に多く自生する、塩分を多量に含んだ野菜、でしたっけ…?」
「そう。それをお湯でどろどろになるまで煮込んだものがケチャ汁。けっこう簡単に作れるから、病気の時とかに食べるものってイメージがちょっとあるかな。」
ケチャ芋は生でも食べれるけど、塩辛いものが好きな人向けだ。子供の頃はこればっかり食べて親に怒られてたね…。
「ふーふーー……ぁ、美味しい…!」
「そりゃ良かった♪ケチャ汁もタマゴも結構味が濃いものだからね。水で薄めれば1日分くらいにはなる。」
「成程…。
ところでオウコ殿は肉料理は苦手なのですか?」
「ぁあー…まぁ特別好きって程でも無いね。扱いにくいし、油っこかったり生臭かったりするし。…イチカはかなり肉食だけれどね♪」
「ウミャ、ミャ♪」
完全に溶かすと食べにくいだろうから、イチカ用のケチャ汁は芋がごろごろ残っている。
「…オウコ殿さえ宜しければ、今日は食材の調達に行こうと思ってます。それとお料理も。…こちらは火の扱いがちょっと懸念されますが。」
「うん、行っておいで。困ったら村の人達に助けて貰いな。」
…まだここを出て行くのかどうか聞かされていないからね。取り敢えず、出て行くなら出て行くで最低限のことは教えないと不安で仕様が無い。
「では、この後早速出掛けて来ようと思います。オウコ殿は何かリクエスト等は御座いますか?」
「…うーんそうだなぁ。特に無いかな?
ただ、昼食はちょっと思い付いたかも。
…ケチャ汁をソースみたいに、甘みの強い野菜に絡めて野菜炒めとかどうかな?」
「あ、それは美味しそう…ですが、毎食のように卵かケチャ芋が出て来ますね…」
「…ぁはは。せっかちなのかな僕。とりあえず味付けさえしっかりしてれば何でも美味しいと感じるし。
その点、ケチャ芋と大鳥の卵は便利なんだよねー。栄養価も高いみたいだし。」
「成程、畏まりました。そのように作らせて戴きます。」
「…。」
「…何か…?」
「いゃ…。何と言うべきか。
…そう。別に君の好きなものを作ったって良いんだよ?僕の好みは大変に大雑把だから♪」
「私の好きなもの、ですか…。」
「…ぁ。流石にお屋敷の料理は使う食材も違うと思うから、そこはこの村にあるもので何とかして欲しい。良いね?」
「はい。」
…貴族の食事と言うのも少し興味はあるが。流石にお値段も分からない料理を注文するのはこわいものがある。
──つまりは後のお楽しみ、と言う奴だ♪
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