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「…包丁良し。麺棒良し。後は…」
買い物前に調理道具の確認。
「あ、オウコ殿っ。お鉢…汁物用の器はありますか?…イチカさんのお皿のようなサイズの。」
「ぁあ、それなら…これでどうかな?」
「はい、それで。後は~…」
「ニャァ?」
「今日はセンカが腕に縒りを掛けてくれるってさ♪運動でもしてお腹空かせて来たらどうー?」
「ムッ…」
うりうりと腹の肉を摘んでやると露骨に嫌な顔をされた。はは…♪
「フン…」
「では行って参ります!」
「ぁあ♪…行ってらっしゃい。」
妙な気分でそんなことを言う。
「…フ♪」
2人の去った玄関をぼーっと眺めるのもどうして、なかなか悪くないかも知れない…♪
…さぁて、仕事だ仕事だ…♪
「おや…確か、センカちゃんだっけ?何処行くのさ?♪」
「リディさん…はい♪食材のお買い物に☆」
「おや奇遇だ。アタシもカラシを切らしてたから買いにね。一緒に行っても?」
「は、はい!勿論…!」
「はは、センカちゃんは真面目さんだ。あんな偏屈オバさんの家にいて大丈夫?♪」
「いえ…!とってもお優しい方ですよ?♪」
「…え…?」
そ、そんなに驚くこと…?
「どーせあのガミガミババァのことだから色々口うるさく指示されたんでしょー?♪」
「いえ、特には…好きにして良いと言うようなことを仰ってました。」
…がみがみばばあ?
「ぁ、そっちか……ぁあ、着いたよ。ここが食材屋だ。」
「食材屋…。」
何てアバウトな……でも、果物や野菜が沢山揃ってる。調味料と…
「あ、ありました…これ!えっと…2袋下さい!」
店主様「2袋…?多くないかい?」
「いえ、色んな料理を作りたいので…!」
「ん…じゃあ2つで500ギルね。」
「ところで、お肉やお魚は何処で買えば良いのでしょう…?」
「ぁあ、それは肉屋で…あっち。」
「肉屋…」
またアバウトな店名…。
「ん〜、まぁ大丈夫そうだし、アタシはこれで帰るね?」
「はい、ありがとうございましたっ!」
「フ…いい子だね〜♪じゃっ、また今度☆」
「はい!」
「…。」
流石にちょっと荷車は大袈裟過ぎたかも…。買い物カゴの方を持って来るんだった…。
「ふぅ…♪」
…何だか涙が出て来そう…♪
こんなにお仕事して良いなんて、初めて…。
よーし、頑張って美味しいご飯作るぞ~〜っ!♪
「…あれ?」
あの灰色の猫は…
「イチカさーん?」
「ニャ。ニャ~。」
「…ぁ。」
すたすたと歩いて来て、荷台に飛び乗っちゃった。…だ、大丈夫かな…?アレを破いたりしたら大変なことに…。
「ミャ〜。」
「あ、はい。只今っ…」
イチカさんに急かされて荷車を押す。…ふふふ…♪
「…これから宜しくお願いしますね、ご主人様っ♪」
「…。」
振り向くと毛繕いをしていて、あんまり聞いてないっぽかった…。
「ふふ……♪」
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