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「ミャ~。ニャーー。」
…耳元で猫が鳴く。中々起きようとしないワタシの髪を前足で踏む。…それはガサゴソと音を立て、的確にワタシの眠りを覚ましてくれた。
「…何だイチカー。そんなにお腹が空いたかぁ…?
よぉしよし。今ご飯作るからちょっと…」
「ミャァ~ッ。」
「…おい…。」
僕が起きたと見るや、ベッドを飛び降りて何処かへ走り去るイチカ。…やれやれ。普段は大人しいんだがね…。
「ん~…。」
起き上がり、軽く伸びをする。…今朝は少し寒いな。暖炉…いや、囲炉裏で充分かな?
「ミャァ~ッ。」
「ん…何だ?散歩に行ったんじゃなかったのか?」
「ミャァ~ッ。」
イチカはまた工房を出て、裏手に回る。
「ミャッ。ミャァ~ッ。」
そこ──つまり鍛冶屋の裏にあるのはゴミ箱だ。所謂粗大ゴミを捨てる用の大きなもの。…仕事柄厄介なゴミが出るから、それ用のゴミ箱を作った。ワタシは鍛治職人だからね。
「…はぁ~。
まさかこれを開けろって言うんじゃないだろうね?」
「ニャッ。ミャァ~。」
べしべしとゴミ箱を猫パンチするイチカ。…どうやら開けるしか無さそうだ。
…以前これをやって、小型の“魔獣”が入り込んでいたことがあるからなぁ…。…まぁ、その時は退治か、“冒険者”に依頼するまでか。
「…はぁ~…。」
傍らの鎖を引くと、滑車が回って、重い蓋が片手で軽々と開く。
…開いたゴミ箱に、“銀星”の光が差し込む。
「…んぅ……」
…声?はっ…!?
「ミャァ~ッ。」
???「…んぅ〜……?」
──ゴミ箱の中にいたのは、2mはあろうかと言う長身と、土のような肌色をした美女だった。──
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