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「…。」
──2人と1匹分の朝食をギリギリの材料で作りながら、どうしたものかと考える。
…いや、まずは医者だろう。流石に法律なんて覚えてない。難しいことは全部医者に任せよう。…差し当たって僕に出来ることは、なるべく水分やら塩分の多い食事を用意してやることだ。
「……。」
ケチャ汁を不思議そうに眺める女性だ。
僕「えっと…食べて下さい?熱いので気を付けてね。」
「ふー…ふー…。ん…!?(ずずっ)」
…空腹か、まさかとは思うが初めて食べたのか。ヘラを使って一気に掻き込む女性。
「…食事中で悪いけど、それはメイド服と言う奴……ですか?」
「…。」
モグモグしながらコクコクと頷く女性…いや少女かな。
「ニャア~♪」
イチカが獣人の少女に擦り寄る。黒い尻尾と白い尻尾が美しく揺れる。
…猫人、だろうか?
…それにしてもメイドとは…こんな村にメイドさんねぇ…ははは♪
「ところでアンタ…いやアナタ、名前は?」
「1000番です。」
「…は?」
「…屋敷に生まれた1000番目のメイド、と言う意味ですが…。」
「…。」
「ここは…?私は一体…?っ。」
…言葉は疑問形だが、どうやら大体の予想は付いたのか、泣きそうな顔をする…1000番さん。
「ん…。ワタシの名前はオウコ・アルラティ。
……セン…センカ。」
「セン…カ…?」
「1000番…なんて呼び名は田舎者には慣れなくてね。「ニャア♪」この子はイチカだ。適当で悪いが、君のことはセンカと呼ばせて貰うよ。」
「……。」
「…聞きたいことは僕にも君にも沢山あるとは思うが。取り敢えずは食事が終わってから。分かった?」
「…はい。
っ…(モグモグ)」
…今思うとヤケ食いだったのかな…。見てるとお腹が空く、なんて言わなくて良かった…。
「…いただきます。」
「い、いただきます…。」
…見れば、長い尻尾が宙に伸びているじゃないか。…ゆらゆらと揺れて、まるで不安な心を表しているかのようだ。
「…。」
食卓を持ち上げ、壁際に寄る。
「…?」
「狭い家ですまないね。もうちょっと広く使いな?♪」
「…。」
頭を下げるセンカ。尻尾も立ったまま。…これは仲良くなるのは難しいかもなぁ。
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