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────。
「…。」
待つ。
『あれを触るな』、『これをするな』と言うのは良く言われて来た。慣れている。
「ニャア?」
「ぁ…。」
…じゃあ猫は?
──獣人の子は動物とお喋りが出来たりするそうだけど、私は動物と会ったことが無い。
「にゃ、にゃ〜…?」
「…フス。」
駄目だ、何言ってるか分からない…。
「う〜ん………あれ?
イチカ…さん?」
────。
「イチカさ〜ん…?」
何処行っちゃったんだろう?探さなきゃ駄目だよね…?でも完全に見失っちゃった…どうしよう。
???「鍛冶屋さーーん?」
「…はいっ!?」
「ぁあそっちか…♪…ん?」
男の人が来た。何か…鎧?を着てる……。
「…。」
「キミは…あれ、鍛冶屋さんは?」
カジヤ…オウコさんのこと?
「あの…お客様、ですか?」
「ぁあ、うん…キミはお留守番、かな?」
「は、はい…あのっ!親戚の…お姉ちゃんを…!」
「ん?ぁあ〜親戚ね…♪
はいはい、じゃあ〜…えっと。」
と言って壁の方を向いて棚に何かをしてるらしい男性。
「あの……。」
「ぁあ、大丈夫慣れてるから。それとも、何か言われてる?」
「はい…この紙を見せろ、と。」
「うん、ぁあ…この紙に書いてあるの、今してることだわ♪仕事の注文ね。」
「は、はい…。」
「…ところでキミ、都会の人?」
「は…はいっ?」
「ふぅ〜ん…?」
「ぁ…あの……」
「…ぁあごめん♪都会の人は随分オシャレな服を着るものなんだな〜って♪」
「…はあ…?」
おかしい…のかな…?
「…そうそう、服を着替えないと。」
「えっ??」
「…ぁあ、えっと、この鎧を修理して貰いに来たんだよ。手で持って来るよりここで脱いだ方が早いでしょ?」
「ぬぐ…脱ぐっ!?」
「ぁああヘンな意味じゃない!!何もしないっ!!ちゃんと着替えがあるから!!あっち向いててっ!」
「は、はい!?」
────。
「…。」
「…もう良いよ?」
「…はい。」
男性──マーティスさんに向き直る。…良かった、ちゃんと服着てる。
「…もう良いよ…?」
「はいっ?」
「?」
「??
…もしかしてキミ、留守番の間ずっとそこで座ってるの?」
「?…はい?」
それじゃあ駄目なのだろうか?あれは“何かをして待て”と言うことだったの?
「…そうか〜……うん。」
「あの…?」
「ちょっと待ってて。」
マーティスさんは急に何処かへ走ってしまった…。
「は、はい…?」
な、何をして待てば良いの…!?
「──はい、これ♪」
「ハッハッ、ハッハッ、ハッハッ…♪」
「…犬…?」
手渡され、抱き方をちょっと矯正される。
「ぁあ♪シャボン玉って言うんだ☆」
「しゃぼんだま…。」
「ぁあ☆シャボン玉みたいに可愛いだろうっ?♪」
「クゥン…♪」
顔を擦り付けて来る。
「ふふ…♪」
「じゃあ俺もちょっと買い物行って来るから、その子と待っててくれるかな?♪」
「は、はい…?」
「──ワン!」
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