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「…ふぅ。」
──暑い。カンカン鉄を打つ音さえも暑苦しく思えて来る…。
「ヨツバ!水置いとくからな!ちゃんと水分補給しろよっ?」
「あー!うん!」
「…ふぅ。」
さて、そろそろ戻るかね?
「主殿ー!」
…全く騒がしい職場だ♪
「…おうアラハム、マーティス、戻ったか。」
鉄音に片耳を塞ぎつつ、外で冒険者達の帰還を出迎える。
「鍛冶屋さぁーん。」
「…何だマーティス。」
…まぁ、多分アラハムの足でも引っ張って凹んでるところなのだろうが。
「…どれ。」
…鎧を見る。腹に一撃を貰ってるようだが、それ以外は修理する程でも無いな。
…剣は、刃がちょっと欠けてるな。これは修理が必要だ。
アラハム「…すみません、俺の方はこのナイフを…。」
「…うわー、また派手にやったな?らしくないじゃないかアラハム?」
…まぁ、別にこの2人でコンビ組んでるって訳じゃないしな。
「…すみません、忙しいのは分かっていたのですが…勿論俺のは後回しで良いです。」
「…と言うか、お前またナイフを使ったのか?
小斧は?持って行かなかったのか?」
「ぁ……すみません、咄嗟のことで、ついナイフを…。」
「…まぁそう言うこともあるだろうが。ヴルフォールなら、斧で手足を斬ってしまった方が戦いやすい筈だ。」
アラハムが使うのは遠距離武器だし、接近戦をやるならやるでもっと効果的なやり方があったに違いない。
「…仰る通りです。…裏庭をお貸し戴けますか。」
「ぁあ、特訓でも何でも好きにしろ。」
センカ「…。」
…。どうも最近、血なまぐさいことばかりをセンカに見せてしまっているような気がする。
ヨツバ「ちょっと店長ー!?」
「…悪いセンカ、代わりに聞いて来てくれ。」
「あ…はいっ。」
「…はぁ。マーティスはお前、もうちょっと攻撃を避けるようにしてくれないか?イチカと特訓でもするか?」
「…うっス。」
「…はー。らしくも無く凹むな。特訓にでも行って来いっ。」
「…はいっ!」
…いや、鎧着たまま行かなくても良いんじゃないか…?
「…ぁー寒い寒い。」
火床が付いてりゃ暑いし、消せば寒いと来た。…聞くところに依ると、温度差で命を落とす鍛冶屋もいるそうだ。こわい。
「えー?アタシはまだ体温まってるけど♪」
「お疲れ様ですお2人とも♪昼食出来てますよ♪」
「おう焼き魚か。良く死守したな♪」
「へぇーお魚かー♪いただきまーす♪」
『いただきます。♪』
「お風呂の用意も出来ていますよ♪」
「うわ、センカちゃん仕事早いっ!」
…まぁ、メイドってそう言うものらしいからな。
「ご苦労。センカは何かしなくて良いのか?」
「いえ、私は…
…それより、裏庭のお2人は放っておいて良いのでしょうか…?」
「放っとけ。」
──一方その頃。
アラハム「…はっ!」
マーティス「やぁあっ!!」
「ぁっはは♪アタシも特訓してからお風呂にしようかなーっと♪」
「ぁーはいはい好きにしてくれ。」
「ハルバード取ってこよーっと☆」
「…。」
何も挙ってウチで特訓しなくても良いじゃないか…。
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