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──病院で色々と確かめた。
…体に少しアザはあるが、取り敢えず命の危険や病気らしきものは見つからなかったと。
…猫型の獣人ではあるが猫の世話とごっちゃにしてはいけないとか。
…また、天から女の子が降って来たことでワタシが捕まる法律とかは無いそうだ。普通に迷子として保護する扱いになるのだろう。
──彼女もそうだが、ワタシも随分と混乱しているようだ…。
帰宅。
イチカ「…。」
「…ふ♪」
帰ったか、と片目を開けて反応する。…今日は疲れたから、丁度良い歓迎だ♪
「…じゃあ改めてよろしく、センカ。」
「はいっ」
「酒や煙草はいるかい?」
「い、いえっ。」
「本当に?我慢は体に良くないよ?♪」
ワタシはどっちも苦手なのだけれどね。
「いえ…その…未成年ですし…」
「…ぁああそうか。悪い、そうだったな…。
じゃあこれがパジャマでー…歯磨きは…使ってないのがあったかなぁ?
布団…枕…。」
「…。」
「…どうかした?」
「いえ……何だか不思議な生活だなって。」
「…。…大丈夫そう?」
「はい、何とか…。」
「…そうだ、屋敷の話さ。」
「は、はい…。」
「話したくないなら話さなくても良いよ。」
「え…?」
「ただ、ワタシはここに来る前のセンカを知らないからね。教えて貰わないと分からないことはある。迷惑を掛けることもあるかも知れない。」
「そんな…迷惑なんてっ。」
「そう?じゃあ…そうだな。…昔のことを思い出して、泣きたくなるようなことがあったら。その時は言いなさい。」
「…。はい…?」
「…じゃあ、布団はそっちだから…。…ワタシはその辺で寝るから。温かくして寝なさいね。」
「いえっ、ワタシが床で寝ます。差し支え無ければ、イチカさんを抱いて寝ますので…。」
「…いや、安眠したいならあの子は抱かない方が良い。」
今日は工房で眠るようだ。多分抱いたら引っかいて来る日だ。
「ですが…」
「…はぁ、分かった。ちょっと待ってなさい…。」
「…これは?」
「動物の毛。綿だ。本当は仕事に使うものなんだが…。今日のワタシのベッドはこれだ。適当に柵を作るから、センカはこの辺りにこれを敷き詰めてくれ。」
「でも…」
「でもじゃなーい。今日はもう寝かせてくれ…。」
「は、はいっ。」
──焚き火を消して。真っ暗な部屋で“ロウソク”を灯す。
オウコ様…オウコ殿はベッドを触って調整をしてるみたい。
「良し出来た…おやすみなさい。」
「は、はい…おやすみなさい…。」
「…ぅう〜ん…。」
…も、もう寝た…?
「…。…。」
…ぁあ、私も眠くなって来た…。ロウソクの炎が揺らめく度にまぶたが閉じる。
…おやすみなさい、オウコ殿──。
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