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目が覚めると、そこは暗闇の中だった。
いや、暗闇と言い切ってしまうと語弊が生じるかもしれない。
黒い世界の中、ぼんやりとした光がいくつか浮いていた。
「なんだこれは…?」
そう思い、近くに来た1つを手に取ってみる。
男にとっては信じ難いことに、それは光り輝く虫であった。
今までは虫を毛嫌いしてきた男にとって、虫を美しいと感じたことは初めてであった。
旅の途中なのも忘れ、瞬きすらろくにせずに、何かに取り憑かれたかと思うほど虫の美しさに見入っていると、光の集団がおもむろに移動しだした。
そこでようやく男は旅という目的を思い出し、あとに続いた。
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