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ただ、いざ旅するとなれば困ったことがある。
四季の国が存在するとして、それはどこにあるのか、ということ。
この老いぼれた身体であてもなく歩き回っていたら、身体が持たず、死んでしまうのが先だろう。
男は考える。
そして思いつく。
「死者の魂は、四季折々のものに形を変えつつ旅をする」
道端に咲いた一輪の花を踏みつけ、男は春の装いを探した。
そうして、ようやく蝶々の群れを見つけた。
男はその群れについて行くことに決めたが、何しろ飛ぶのが早すぎる。
すると、段々と一羽の蝶々が遅れていくのに気がついた。
どうやら、羽を怪我しているようだ。
男は笑みを浮かべ、次の国までの使者を見つめた。
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