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男は当てもなく歩いた。
怪我をしていても、案外早く飛ぶ蝶々に苛立ちを募らせながらも、当てもなく歩いた。
そして、歩き回った疲労からか、気温の高さからか分からぬ汗が額を伝い始めた頃、男は聞きなれない「ミンミン」という、虫の鳴き声を聞いた。
ふと周りを見渡すと、そこには焼けるような太陽に、大きな水溜まりのようなもの、どこまでも続いていきそうな地平線があった。
男は水溜りのような場所に寄っていった。
もう喉がカラカラだ。
手で掬い、口に含むと、あまりのしょっぱさで目に涙が浮かんだ。
少しだけ喉が潤うと、途端に睡魔が襲ってきた。
長い旅路で疲れたのだ、しばらく休憩しよう。
そう思うと道端に横になり、燃え盛る日差しの中、男はゆっくりと目を閉じた。
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