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那智自身が私の中へと入ってくる。与えられる快感に身を任せて那智の背に手を回す。
「ずっと一緒にいないか?」
問いかけに応えられない。突き立てられる甘い衝撃が私の身体を跳ね上がらす。
抱いた後、腕の中にしばらく私を閉じ込める。那智の胸を背に感じながら指先を絡める。那智はこれまでそうしながら何も言わずに私を家まで送っていた。
「響さんとはどうするつもり?」
「どうって、那智……」
まさか肌を重ね合わせた後で、響のことを聞かれるなんて。考えてもいなかった問いかけ。
「どうもしないわ。逢わないもの」
――どうにもできないだけ。逢えないから。
「俺と付き合う? いまさらだけど」
那智が笑ってる。貴方が与えてくれたのは虚しさではなくぬくもり。私がした響への口づけとは違う。那智を受け入れたのは私。
「本当にいまさらね」
微笑んで返すと、那智は嬉しそうな表情を見せた。
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