to pine for love. [恋に焦がれる]

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to pine for love. [恋に焦がれる]

【side_響】  あの夜を境に実家には帰らず、会社近くに借りたマンションへと戻った。  恋人でもなく友人でもない。真珠は俺に寄り添いたいと言う。 『代わりでもいいわ』 小さく震える様に真珠はつぶやいた。抱き寄せて肌のぬくもりを感じあえたら、何かが埋められる気がして口づけを重ねる。  唇が違う。声が違う。けして腕の中に抱く人が愛した者ではないと思い知らされる。  得たものは激しい後悔と真珠への微かに芽生えた愛しさ。 『響のそばにいたいの』 潤む瞳を俺は拒絶した。相反する想いから目を反らして翌日すぐに実家を後にした。
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