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サインを済ませ、品川弁護士と別れて一輝と歩き出す。二人で軽めのディナーをしてから家へと送ってもらう。
「代車、気をつけてね」
「今回は本当にすまない。瑠璃に負担が行ってる」
いつもは賑やかな一輝もどことなくしゅんとしている。
「大丈夫よ、きっとなんとかなるわ」
先に謝られてしまうとそう答えるしかない。本当になんとかなればいいけど。
「あれ、瑠璃の家の前じゃないか」
ハザードランプを点灯させて一輝が車を停める。家の前に軽トラックが停車をしていて門を塞ぐ。
「瑠璃、おかえりなさい」
車から降りて様子を伺いに行くと、姉の真珠が大輪の薔薇の花束を腕に抱えている。
「こちらもお願いします」
ふわっと薔薇の香りが辺りを包み込む。業者らしき制服を着た男性に華やかな花束を手渡される。
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