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「瑠璃、持とうか?」
業者にサインを求められ一輝に花束を預ける。
送り先は私、送り主は―― 琥珀だった。
「如月さんから贈られたみたい」
ついさっき病室を見舞ってきたばかりの琥珀から、大きな花束が幾つも。
「瑠璃、中に運んで」
真珠に促されて一輝と大量の花束を部屋の中へ。
「花瓶が足りないわ。いったいどなたからなの」
驚きを隠せない真珠が尋ねてくるけれど、即答に困ってしまう。
「一輝、車が心配でしょう。もういいわ、ありがとう」
「……何かあればすぐに連絡をして」
一輝を帰してリビングのソファへと座り込む。
赤を中心に鮮やかに咲き誇る薔薇の匂いが漂う。いったい何を考えてる人なのっ。琥珀の顔を思い浮かべて薔薇を見つめる。
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