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「貴方が真野さんで、こちらが早瀬さんですね」
下げた頭の横からしてくる声に、聞き覚えがある。
「はい、そうです」
ベッドにいらっしゃる方が被害者。枕元の横に立つ方がおそらく連絡をしてこられた弁護士さんだ。
「いいですよ、顔を上げて」
キリッとした声に恐る恐る顔を上げる。弁護士さんは細めの眼鏡を掛けていて、手に薄めのファイルを持っている。
「あの…… 本当にごめんなさい」
改めてベッドに身体を起こす琥珀へと謝罪をする。彼の目がちらっと向いて息を呑む。
如月 琥珀―― こんなにも冷たい瞳をした人を、私は今まで知らない。
「君達は謝り方もわからない様だ」
「え……っ?」
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