花散る夜に

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 新作発表は間近に迫っている。引き受けてくれた瑠璃に感謝の意を表す為に薔薇を贈る。 『何かメッセージを添えられますか』 『そうだな、新作商品のあれでいいだろう』  ――You are the one for me. ――  舞踏会はキャッチコピーを掲げて催される。伝えておくべきだとメッセージカードを頼んでおく。 「甘くて美味しい」 「そう、ならよかった」 ナチュラルなメイク。ふわりとした髪。瑠璃にはきっと透明感溢れるものがよく似合う。  瑠璃を思いTiaraを造る。メインの宝石はラピスラズリ。最高の幸運をもたらすという青紫色に輝く宝石の意味は新作商品のコンセプトにも沿う。 「琥珀さん、見すぎです」  フォークを持つ手を止めて上目遣いに頬を赤らめて俺を見る。 「他には誰もいないんだ、かまわないだろう」 おかしな事を言う。今まで周りにいた香水が香る女性達とは瑠璃はまるで違う。
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