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「瑠璃、どうした?」
あれ――? 私、哀しく想ってる。
「琥珀さんが、からかうからいけないんです」
心を惑わせる。射抜く様な冷たい瞳に足が竦むのに、私を抱きしめるその手はあたたかくて。
「望むなら叶える。どうしたらいい」
「違う。そんな事じゃなくて」
知りたかったのは、胸をぎゅっと掴まれる様なその理由。
琥珀と見つめ合う。半べそをかいた私に琥珀は困った表情を浮かべる。
「瑠璃、どうしたらいいか教えて」
「わ、私ばっかりドキドキさせられてずるいです」
「……わかる様に話してくれないか」
だって。私だってよくわからないんだもの。
この想いは―― 恋? 支離滅裂になるやりとりに琥珀はふっとやわらかな眼差しを見せ、私の手をとり自分の胸にあてさせる。
「俺も同じ。感じる?」
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