愛にふれて

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「迷ったりはしないの? 一輝くんのこと」 「一輝は良い奴よ。でも……」 さすがに真珠に答えるのはちょっと照れてしまうけど。 「琥珀さんてね、普段はおっかなく見えるの。でも、すごくあったかいの」 「好きなのね。羨ましいわ、瑠璃」 浅い溜息にわずかに感じた疑問。少し前から真珠の様子はおかしい。 「姉さん、何か迷っているの?」 「何も無いわ。瑠璃、もうすぐ時間よ」  真珠は迷う恋をしてるのかな。なんだか刹那そうに見えるけど、私にはわからない。 「お迎えが来たみたい。行ってきます、姉さん」 二階の窓から外を見ると、車が一台家に向かって入ってくる。  琥珀が好き。学生時代に淡い恋はあったけれど。まだ誰かと深くお付き合いをした経験がない。心が迷う想いを私はまだ知らない。 「如月は会場でお待ちですよ」 「品川さん、いらしたんですか」 迎えに来た車に乗り込むと、後部座席の奥に品川さんの姿。
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