愛にふれて

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「まさかねぇ、貴方が」  はい、なんとなく仰っりたい事がわかっちゃいます。 「まぁ、わからなくはないが」 後フォローしても無駄です。本当は琥珀とは不似合いって言いたいくせに。  勝手にいぢけた気持ちになる。琥珀は関連会社を幾つも持つ企業グループの令息。身分差があり過ぎるくらい私だってわかってる。 「小泉朱音(こいずみあかね)、ご存知でしょう?」 「えっ? いえ、知らないわ」 「如月の自宅でお会いしているでしょう」  やわらかな雰囲気の綺麗な大人の女性―― 「あ、あのメイドの方?」 初めて琥珀の自宅を訪れた時、彼女は髪を束ねていて優しい笑みで紅茶を運んでくれていた。 「やっぱり聞いていないんですね」 肩をすくめた様に息を吐いた品川さんに、とっても嫌な予感がする。 「朱音様は縁談相手ですよ。注意された方がいい」 はぁ!? 私は驚きのあまりに声が出ない。   小泉 朱音(こいずみあかね)―― どうしてそんな相手が家にまでいたの。
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