824人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
「まさかねぇ、貴方が」
はい、なんとなく仰っりたい事がわかっちゃいます。
「まぁ、わからなくはないが」
後フォローしても無駄です。本当は琥珀とは不似合いって言いたいくせに。
勝手にいぢけた気持ちになる。琥珀は関連会社を幾つも持つ企業グループの令息。身分差があり過ぎるくらい私だってわかってる。
「小泉朱音、ご存知でしょう?」
「えっ? いえ、知らないわ」
「如月の自宅でお会いしているでしょう」
やわらかな雰囲気の綺麗な大人の女性――
「あ、あのメイドの方?」
初めて琥珀の自宅を訪れた時、彼女は髪を束ねていて優しい笑みで紅茶を運んでくれていた。
「やっぱり聞いていないんですね」
肩をすくめた様に息を吐いた品川さんに、とっても嫌な予感がする。
「朱音様は縁談相手ですよ。注意された方がいい」
はぁ!? 私は驚きのあまりに声が出ない。
小泉 朱音―― どうしてそんな相手が家にまでいたの。
最初のコメントを投稿しよう!