愛にふれて

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「あら、始まるようね」  会場全体を明るく照らしていた照明が落とされ、ライトは正面の垂れ幕へと集中する。  それとは別に上からのスポットライトが照らされ、真下には黒服に身を包んだ男性が現れる。会の始まりを告げる挨拶がされ背後にあった垂れ幕が左右に開き出した。  会場全体からどよめいた声が上がる。ライトダウンされた中でそれは一際輝いて見える。    遠く見える城へと続くガラス階段―― 城は映像によるもの。ガラス階段は本物らしく、それがキラキラと輝きを放つ。 「まぁ、素敵」 朱音のうっとりとした声が薄暗い中から聞こえてくる。その声に顔を向けた時、また大きく会場内にどよめきの歓声が上がった。  ガラス階段の後ろ側から二人の男女が登場する。男性に手を引かれ舞台に踊り出て来た美しい女性に俺は目を見張る。
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