愛にふれて

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 まるで別人のよう―― Tiaraを頭にのせ、高いヒールを隠すほどに長い裾のシャンパンゴールド色のドレスで着飾られた瑠璃がそこに立つ。   琥珀がマイクを通し話を始めると、瑠璃は後方に下がりドレスの裾をふわりとさせて用意された花飾りの椅子に座り込む。もう俺の目は瑠璃に釘付けだった。 「一輝さん、お相手はいらっしゃる?」  照明は再び明るくなり、流れてくる音楽が変わると、自然に踊る者は中央へ残り他の者は壁際に寄り出す。 「すみません、ダンスは全く」 「そう、残念ね」 朱音の背を見送り輪の中に目を向ける。きっと場を盛り上がる為に呼ばれた者達が居るのだろう、周りの目を惹くカップルが音楽に合わせダンスを踊り出している。  早く瑠璃を見つけるんだ。朱音の事を彼女は知っているのか。いや、もし知らなかったら瑠璃にどう話せばいい。 「そこでお待ちください」  足早に舞台へと向かっていた俺の肩を、後ろから誰かの手が掴んだ。 「あ、品川さん……!」
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