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「どちらに行かれます?」
「勿論、瑠璃のところへ」
「でしたら、次の演目が終わられて、新製品の紹介が済んでからになさってください」
瑠璃はモデルになると正式に書面を書いている。品川さんの指示に従うよりない。
「無事に済めばいいんですがね」
了解したと告げると思わせぶりな言葉が。聞き返す暇も無く彼はすぐに立ち去る。
朱音の存在といい、品川の言葉といい、いったいなんなんだよ。不安と焦りが湧き上がってくる。
演目は問題無く流れて行き、目の前にはくるくると回る人達で溢れている。
長い指先を絡めて背を反らす女性。細い腰を支えてリードをする男性。揺れ動く髪に足に纏わり付く鮮やかなドレスが跳ねて舞い上がる。
「それでは皆様、前に御注目下さい」
いよいよか。曲が変わりアナウンスが流れる。先程のガラス階段の前に新たにテーブルと椅子が用意されている。
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