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無理矢理な感じは否めない。それでも瑠璃の手を取り部屋へと連れて行く。
「着替えは頼んだから」
瑠璃から聞いた衣装室に内線を繋いでもらい手配を済ませる。
「一輝、どうして……?」
「放っとけるかよ、あんな顔してたら」
ベッドの足元に座る瑠璃の隣へ。まるで警戒心を見せない瑠璃に浅い溜息。
「途中で抜けたのよ。契約しているのに」
「事故の費用、心配してるの?」
そんな泣きそうな表情をして、まだ俺の心配をするんだ。
「瑠璃、こっち向いて」
あんまり鈍感過ぎてすっかり忘れてたよ。
「好きだよ。その鈍いとこも全部」
はっきり言わなきゃ、瑠璃には伝わらない。仲良し感覚がそれを邪魔してくる。
愛してる―― 囁きにふれてみて。琥珀よりも俺を見て。
「一輝……?」
理解できるまで君に囁くから。
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