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一輝の背後から人影が動き、ようやく瑠璃が顔を出す。
「出て来たらだめだろ」
「でも…… 約束だもの」
瑠璃はまだ真っ白に淡いピンクレースを重ねたドレスに身を包んだままだった。
「瑠璃、会の手順は覚えているね。もうラストなんだ、一緒においで」
「行かなくていいよ、瑠璃」
横から口を挟むな。瑠璃が惑う。
「如月さん、さっきのあれはなんですか」
「ただのハプニングだ」
朱音が頬にキスをしてきた事は、俺にも想定外。
「貴方には瑠璃を預けられない」
預ける――? まるで自分のものの様に言う。
「瑠璃、早く来い」
手を差し出す。一輝を見ていると何故か苛々が募る。
一輝の横をすり抜けて瑠璃が前に出てくる。
「ラストの一曲なのでしょう?」
行きます、瑠璃は差し出した俺の手を掴んだ。
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