これで、終わり。

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神様なんて、いないんじゃないかな。 ふとそう思う。 助手席から見える夜景は、私の心とは裏腹にきらきら輝いている。月は心做しか青白く、不気味に私を嘲笑う。木々が月を隠し、また現させ、また隠した。 ぼぅっとそれを眺めながら、溜息をついた私に『彼』は、「…どうしたの?」と問う。 私は微笑み、「…ううん、何も。ちょっと、帰りたくないなって思っただけ」と答える。 『彼』は「…そっか」とだけ言った。 車は山道を下る。いつもは不快でしかない石ででこぼこした道も、今日に限っては心地よく感じてしまう。ゆりかごでゆらゆら揺られて眠る赤子は、きっとこんな気持ちだろう。
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