これで、終わり。

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時刻は午前1時をまわったところだ。 目的地まではあと1時間半位。 ガソリンはあと、満タンの半分より少し少ない位だろうか。 それらは私に、無情にも私の願いは叶わないことを告げていた。 もしも今この瞬間、私の目の前に魔法使いが、サンタさんが、神様が現れたら私はこう言うだろう。 『時間を止めてください。』 『目的地をずっと遠くに、いや、消してください。』 『ガソリンをなくして、ここに居ざるを得なくしてください。』 そうすれば私と『彼』はきっと、一緒にいられるだろう。行きたい所へ行って、何も気にせず、愛したいだけ愛していられる。一緒にいたいだけいれば良いし、お互いの愛を獣のように貪り食うことも許されるのに。 でも。
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