告白

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「と……ともだち………??」 告白した後に友達になろうとは随分な逆走だ。脳内に某カーレースゲームでウィンウィンと逆向きの矢印を持った雲に乗った亀が出てくる場面が浮かんでくる。 「うん、俺といても航くんの気分が悪くならないなら、友達としてそばにいたいなって。 …もちろん、さっきの告白は取り消すよ。忘れていいから。急に言って倒れさせちゃってごめんね」 そう軽く明るく言ったさとみさんの言葉の端には明らかに隠しきれない寂しさと悲しさが滲んでいて、僕は胸が痛くなった。 それと同時に、こんな厄介な体質を抱えていると知って、それでもそばにいようしてくれていることが、単純にすごく嬉しかった。 「はい、さとみさんが良いなら、よろこんで!」 さとみさんの気遣いを無駄にしないためにも、僕も明るく言う。 「…ありがとう、じゃあ、友達だから、俺のこと名前で呼んでほしいな…なんて…」 笑いながらちょっと恥ずかしそうに目をそらすさとみさんはそれはそれはもうすごくかわいかった。 もしかしてずっと僕に名前で呼んでほしかったのかな? 急にかわいい一面を見せてくるさとみさんについつい笑顔になって言った。 「ふふっ、わかりました!陵介さん!」 一瞬驚いたように目を見開いたさと…陵介さんは全世界の人たちを一瞬で落とせそうな甘い笑顔を僕に向けてくれた。
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