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話を一通り聞き終わった後の俺の心の中では
「どうせ望みはないんだから諦めないと…」と思う気持ちと、「絶対に諦められない!」と思う気持ちが半分ずつくらいでせめぎ合っていた。
しばらく沈黙の中で、考えて、迷って、やっぱり強く思った。叶わなくてもいいから、振り向いてもらえなくてもいいからそばにいたいって。
でも航くんの体質上、拒まれれば俺はそれ以上なにもすることができない。
「航くんはさ、今みたいに俺と一緒に居ると気分が悪くなる?」
航くんはきょとんとした顔で否定した。
だったら俺がするべきことは1つだ。
航くんと、友達になってそばにいること。
恋人になるのが無理でも一緒に居られるなら、話ができるなら、友達としてでもいいと思った。
…本当は少し寂しいけど。
告白の後に友達になろうなんてちょっと順序を間違えた感じはあったけど、航くんはちゃんと許可してくれた。
勢いそのままにそれを理由にこじつけて、ずっと思っていたけど言えなかった名前で呼んでほしいってお願いをしてみた。
「ふふっ、わかりました!陵介さん!」
そう呼んで笑いかけてくれた航くんの自然体の笑顔は、もう天使って言葉がぴったりで、危うく今度は俺が倒れるかと思った。
航くんの笑顔がかわいくて、名前で呼んでもらえたことがこれ以上ないくらい幸せで、あぁ、やっぱりこの子が好きだなって心から思った俺は自然と満面の笑みを返していた。
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