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しばらくすると涙が引っ込んで、だいぶ落ち着いたので、ずっと慰めてくれていた2人に断って、忘れそうになっていた本来の目的のノートを探しに行った。
探しに行くと言っても8畳の部屋かトイレかお風呂場しか探すところはないんだけど不思議と出てこない。
結局櫂兄とさとみさんもノート大捜索に加わってくれて、結果的にそれは櫂兄のベッドの下から出てきた。落とした拍子に滑り込んでしまったのかもしれない。
「それでは大変お邪魔しました…」
目的を達成した僕は帰ろうとしたんだけど、櫂兄がせっかく来たんだからもう少しいろよと言ってくれたので3人で櫂兄が入れてくれたコーヒーを飲んだ。
僕は舌がお子様なのでコーヒー牛乳(コーヒー:牛乳 1:9) だったけど。
さとみさんはよくよくみると本当に整った顔をしていた。
櫂兄は男らしいイケメンだけど、さとみさんはすこしたれ目の綺麗な二重の目と綺麗な形の鼻と口がバランス良く配置されている、中性的で線の細い感じのイケメンだった。
髪も茶色っぽく肌も櫂兄に比べれば白くて、生まれつき少し色素が薄いのかもしれない。
そしてなによりスタイルが抜群に良い。
さとみさんが実はアイドルとかモデルをやっていると言われても僕は信じただろう。
こんなに王子様って言葉がぴったりな人を初めて見た。
さとみさんは話を聞くのも上手で、ちょうどいいタイミングで相槌や質問をくれるから僕もつい色々と喋ってしまって、思った以上に会話が弾んでしまい、最終的にはさとみさんと連絡先まで交換していた。
男の人にあまりいい思い出が無い僕が初対面の男の人と連絡先を交換するなんてすっごく珍しいことだったけど、その時からなぜかさとみさんは他の人とは違うと感じていた。
帰りも櫂兄に送ってもらって、気がつけば僕の家に着いた頃には12時を回っていたから驚いた。
あまりに短時間で色々なことが起きすぎて、感情が揺さぶられまくった僕はすっかり疲れていて、ベッドに倒れ込んだ瞬間深い眠りに落ちていった。
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