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2 勇者取り敢えず仲間を作る。
飛び出したのはいいものの、卒業式の会場で大体のヤツらがパーティを組むためマモルは一人の状態で勇者をスタートさせてしまった。この世界では何人か勇者の素質を持つ者がいる。きっとこのクソみたいなステータス難関も飛び越え、意気揚々とパーティを組んで力をつけていることだろう。
「いや、でも!こんなのついてたら誰もパーティなんか組んでくれないって!」
どんなに酒場で酒(マモルの国では学校卒業で酒が飲める)を飲んで叫んで暴れてもこの性癖ステータスは消えない。周りのヤツらから好奇の目に晒されるだけだ。
「あのぅ…。」
「ああ?んだよ!あんたも俺を笑うのかよ、あの算定師みたく!」
ドンッとジョッキを置くと相手はビクリと震えた。ん、相手…?
「ってお前誰だよ!?」
「あはは、いきなりすいません。驚かせちゃいました。」
一気に酔いが覚めたマモルの前に現れたのは、水色のツインテールの少女だった。首から十字架をさげている。もじもじとした動きで下がり眉、その口は静かに開いた。
「あ、あの私アルマって言います。その、僧侶…です。あっあの、その、マモルさんとお話したかったんですけど…その、マモルさん卒業式いきなり抜け出してっちゃうから。」
そりゃああんな大人数の前で恥さらしになったわけだ。抜け出すに決まっている。待てよ、お話したかった?ということは。
「君、もしかしてパーティ参加希望?」
そう聞くとアルマはぱあっと嬉しそうな顔になる。
「は、はい!そうなんです!マモルさんの役に立ちたくて…。無理だとはわかってるんです。でも、せめて一回でもお話…
「いいよ!なってくれ、パーティ!」
いいん、ですか?」
食い気味にアルマの肩をガシッとマモルは掴む。だが少し不安要素もある。正直、強さなどどうでもいい。マモルが守って戦えばいいだけだ。一人旅が物寂しいだけであって。実際問題はマモル自身のステータス画面にあった。
「ただ、その。君は俺のステータスちゃんと見たかな?」
「へ…?」
そうこの〝ドM〟という文字だ。
これを受け入れてくれる人はなかなかいないだろう。自分の顔が渋くなっているのがわかる。しかし水色の少女の返答は意外なものだった。
「…ふふふ、おかしな事を言うんですね。こんなもの皆一緒じゃありませんか。何なら私のも見てみてください。」
言われたままに彼女のステータス画面を覗く。謙遜していたが明らかに僧侶にしては高ステータスだった。
アルマ
職業:僧侶 魔力:514 HP:629 攻撃力:129 防御力:214 性癖:ノソフィリア
「…ノソフィリア?」
「私も自覚なかったんですが、病気愛好者のことらしいです。ヒーラーの役割なのに、こんな向いてない人間っていませんよね?だから、私はマモルさんを変だなんて思いませんよ。」
聞いた事のない性癖にマモルの頭は?がまだ残る。まあ旅していれば何となくどういうものかわかるだろう。アルマのさっきの挙動不審さは軽減され手をそっと握られる。
「なので、私とパーティ組んでくれませんか?マモルさん。」
こうして取り敢えずマモルはパーティの一人目を見つけたのであった。
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