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18歳
伸びた襟足は脱色されていて、鼻から上にかけては黒い地毛。
ごちゃごちゃと、耳たぶはたくさんのピアスが刺さっている。何年かけてここまで完成したのだろう。
数珠のように見えるのはパワーストーン。それが何個も手首に巻かれている。重さで手首が疲れそうだ。
緑の原色に、よくわからない英単語が大きく印刷されているTシャツと、ダボダボでズタズタのダメージジーンズ。もし職業がラッパーならその格好の意味はわかる。
彼は、空き時間になると全面ガラス貼りの喫煙室に入り、奥の椅子に座って、慣れた手つきでポケットからクシャクシャになったタバコを取り出し、火をつける。
きっと彼は私とあまり年は離れていない。
見た目は、かけ離れすぎているが。
私は1200円で買った薄茶色のペラペラなフェイクレザーの靴。
なんのロゴもブランド名もダメージ加工も入っていないジーンズ。
焦げ茶に、植物を模したナチュラルなプリントがされた薄手のパーカー。
髪を染めたこともないし、ピアスに触れたこともない。
空き時間、喫煙室に入ることもない。
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