サイボーグウーマン 弱点を克服せよ

3/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ゆり子はふと自分の体を確認してみた。全身、顔を除いて、黒い服におおわれていた。いや服というより、鎧のようだった。ものすごく硬い。靴と手袋とも一体になっていて、その境目のようなのも全く見当たらない。いわゆる一体化スーツ? いやそういうのでもなかった。それ自体が体の一部のようであった。つまり、今の自分は、他の服を着ていない全裸みたいの?本当に改造されてサイボーグになってしまったようだ。服を着る必要がなくなった代わりに、きれいな服を着ておしゃれを楽しむことができなくなった?もう一度自らの体を目視してみた。漆黒で少しつやがあり妙にセクシーな姿にむしろ興奮すら覚えた。 しかしうっとりしている余裕はない。さっき出てきた出入り口のところからまた大勢の刺客達がやってきた。それに対し、ゆり子は再び攻撃を繰り返していった。1人に対して一撃で倒していく。やがて自分に向かってくる敵がほとんどいなくなった。そのとき、再び首領の声がした。 「お見事。君はもはや無敵だ。だが、そのような人間離れした姿ではもはや普通の人としての生活はできまい。もう一度考える機会を与えよう。組織の一員として活動してみないか」 「ふん、むしろこのようなヒロインのような姿にしてもらって感謝してるわ。あなたの組織を壊滅させるまで戦い続ける気になったのよ」 「ふふふ、面白い。だが、君には弱点がある。今からそれに基づいた作戦を実行する」 「何ですって?」 そのあと、また基地の入り口のところから何かがやってきた。大勢出てきた。見た目は普通の一般人達である。そしてゆり子の周りにものすごくたくさん集まってきた。その者達は常に一定の方向に歩き続けている。 「いや、何」 「ふふふ。これが君の弱点だ。君は駅の階段で大勢の人々に押しつぶされた。そのあと我が組織の者達が君を拾い上げて基地に運んできて改造手術を受けさせたのだ。すなわち君の弱点は人ごみだ。たくさんの者達に押しつぶされた衝撃は忘れられまい。そしてどうしようもなくなるのだ」 「くっ、この人ごみぐらい・・・い、いやああああ~」 ゆり子は倒れた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!