まさか

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あぁ、終わった。 終わってしまった。 私の青春。 手紙を書きながら、いろいろ考えた。 彼と一緒に過ごす夏休み。 いけないと知りながら二人乗りをしながら道を走る。 ファミレスに入って、一緒に食事をして。 真ん中で折れるアイスを買って、二人でベンチに座りながら食べたり。 そんな淡い想像は、しょせん想像でしかないのだと、現実を突き付けられる。 目から自然に涙がこぼれる。 「あ、ありがとうございます。弓弦君。わざわざ呼び出して、ごめんなさい。」 ダメだ、言葉が、出ない。 頭が回らない。 溢れる涙が視界を歪ませる。 もう何も、見えない。 「あの、それでは、私はこれで。」 そう彼に告げ、足早に隣を過ぎ去ろうとする。 「ちょっと待って。」 そういいながら彼は私の腕をつかむ。 早くこの場を去りたいのに、彼はなぜ私を止めるのだろうか。 「あの、なんでしょうか。」 「僕からも、木更津さんに話しておきたいことがあるんだ。」 「弓弦君から、私に?」 「そう、君に。」 一体なんだろうか。もしかして、私を馬鹿に・・・? 「木更津さん、僕は君のことが好きです。」 「・・・・・・・・・へ?」
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