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「本当ですか?」 「本当です。ですから早く、あたしを部屋に入れてください。いつまでもこんな所に居ては――あたし、怖くてたまらないんです」  女性にこうまで言われては断る訳にもいかない。これは男と女の性差なのだ、仕方がない。  男と女は不公平だ。否定する気などもうとうない。犯罪は男性の方が多く犯すし、体力差や性的思考も随分と違う。一般的な社会認識として女性は保護されるべき対象であろう。それは差別などではなく適切な判断にすぎない。 「詳しい話をお訊きかせ願いますか」 「勿論です。見ず知らずの方に親切にしていただくのですから」  彼女を部屋へ通し、私も後に続く、ドアを閉める時にマンションの共用通路へと振り返り、私は何者かの気配がないかを注意深く観察した。  ドアを閉め、内鍵をするか一瞬躊躇(ためら)われたが、彼女の安心を優先して鍵を掛けドアチェーンもしっかりと確認した。
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