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「それで、なぜ私に助けを求めたのですか?」
「それは、あたし誰かに監視されている気がするんです」
「ストーカーとか?」
「そうかもしれません。でも、何しろ相手がわからないのでは警察も相手にしてくれませんからね」
彼女はその瑞々しい瞳を閉じ、頭と掌を軽妙に振ってみせた。
「では、私が貴女を部屋に送り届ける。これでは駄目なんですか?」
「でも、相手はあたしの部屋を知っていますし、もし貴方と一緒にいるところを見られでもしたら、今度は貴方に危害が及ぶかもしれませんよ?」
「じゃあ、貴女は危害を加えられたのですか?」
「いいえ、まだ。もし、直接的に危害が加えられていたなら、警察だって流石に動きますよ。だけど、あたしはダメージを受ける。あたしにとって最悪の展開です。もし、今警察が動いたとしても数時間おきに巡回して、相手が悪い気を起こさないように牽制する程度でしょう? 警察は人権と犯罪抑止を名目にして、加害者には甘いんです。それで、加害者が怖気づき考え直さなかったなら、加害者の高まった抑圧は、その矛先を被害者に向けた直接的行動に移らせることになりかねません」
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