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日も落ちかけ辺りが薄暗くなってきた頃、ある巨大な建物から男女が数人飛び出してきた。
何者かに追われているのか、彼らは息も絶え絶えにそのまま暗くなった林の中へと飛び込んでいく。
……
どれくらい走っただろうか、見慣れた空き地にたどり着くと彼らは崩れ落ちるように腰を降ろした。
勇「ハァッハァッ……ここまで来れば……おい、アイツどこ行った?」
武「……そういや居ないな、はぐれたか」
魔「ま、まさか捕まったんじゃ?」
勇「いや、アイツの事だから大丈夫だとは思うが……」
魔「大丈夫よね?」
武「心配しても仕方ない、もしもの場合は犠牲になって貰うしか……」
勇「な、何言ってんだよ!」
魔「そうだよ、私達ずっと一緒にやってきた仲間でしょ」
武「……そうだな、スマン」
勇「とにかく、アイツの事はとりあえず置いといてコレからどうするかだな」
武「おそらくだが、向こうからは俺達の姿までは見えなかったハズだ。そこに希望を持つしかない」
魔「……なんでこんな事になったんだろ」
勇「いまさら言っても仕方な「ガサッ」
不意に茂みから音がした。慌てて振り返る3人
。
視線の先に居たのは、まさに「鬼」であった。
人の倍以上はあろうかと錯覚させる巨体。その体を包む筋肉はまるで鎧のようであった。
「鬼」は笑いながら3人を見下ろし口を開く。
鬼「こんな所で何をしている?」
ふと気付くと傍らに少年が1人。
少年は気まずそうに声を掛けてきた。
賢「悪い、転けて捕まった」
その場に居る者は1人を除き全員が絶望に包まれた。
勇「……あの、それで僕らの処分は?」
鬼「勇太、武司、賢太郎、魔理。学校の屋上に忍び込んで花火たぁ、いい度胸だ。停学ぐらいは覚悟してもらわんとな」
勇、武、魔、賢「「「「!」」」」
鬼「……と言いたい所だが、お前らは運がいいな。たまたま見付けたのが俺だけだったからな、まけて残りの夏休み1週間の校内清掃で許してやろう」
武「お、鬼塚先生!」
勇、武、魔、賢「「「「ありがとうございます」」」」
鬼「感謝しろよ?あと、あんま馬鹿な事はやるな。はしゃぎたい気持ちは分かるが、お前らはまだ責任も取れないガキなんだからな?」
勇、武、魔、賢「「「「すみませんでした」」」」
……
勇「よ、良かったぁ」
魔「あんた達のせいなんだからね!私は反対だったのに」
武「よく言うな。1番ノリノリだったクセに」
魔「うるさいわよ?」
賢「まあまあ、なんにせよ停学は免れたわけだから」
勇「てか、お前なんで転けてんだよ…」
賢「いや、それが踊り場のとこで誰かに足を掴まれたような…」
魔「マジ?それ幽霊?ヤバいじゃん!」
武「これはあれだな」
勇「だな、やっぱ」
勇、武、魔、賢「「「「確認してみないとな♪」」」」
……彼らが停学になる日もそう遠くないかもしれない
~完~
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