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見上げると、そこには巨大な翼を持った生物の影。
確かめるまでもない。
東京に現れたというヤツだ。
何機ものヘリコプターがその後を追ってきていた。
さらに、サイレンの音と赤色回転灯を回して猛スピードで近づいて来たのはパトカーの軍団だ。
中から降りてきた警官が、パトカーを盾にして俺を取り囲む。
いや、狙っているのは頭上の巨大生物か。
そんな緊迫した中に暢気な声が響いた。
「おーい、すげーの持って帰って来たよぉ」
ミューズは白くて細い腕を振りながら、とても良く通る声で俺に向かってそう叫んでくれた。
その瞬間、上を向いていた警官の目が、一斉に俺の方を向いた。
久し振りに会えたミューズを抱きしめたいけれど、それを味わう余裕はなさそうだ。
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